電子軌道の順番におけるなぜ?

電子はエネルギーの低い軌道から順に収容される。
その順序は、以下のように斜めの線で記します。

出典:化学のグルメ https://kimika.net/r1denshihaiti.html

同一上の殻に空きスペースがあるにも関わらず、
外側の殻に電子が先に収容されてしまうには
こういったエネルギー準位が低い軌道から
電子が入っていくというルールがある為である。

周期表にて、電子配置を確認して
気になる原子があったので調べてまとめました。

パウリの排他原理とフントの法則

電子はエネルギーの低い軌道から、入っていくルールを踏まえた上で
パウリの排他原理とフントの法則についても知っておきましょう。

パウリの排他原理

パウリの排他原理とは、一つの原子軌道には電子は2個までしか収容できない。
さらに、それらは互いに逆向きのスピンを有してなければならない。

1S ↑↓

 

1S ↑↑

この例でいくと、上の表は〇、下の表は✖ということになります。

フントの法則

縮重した軌道が存在するとき、それらの軌道にすべて1個ずつ電子が収容されるまで、1個の軌道に1個ずつ電子が収容される。
また、これらの電子は全て同じ向きのスピンをもつ。

※縮重とは、エネルギー準位が等しいということです。 具体的に言うと、3d軌道は縮重していると言います

3p ↑①↓(④番目)〇 ↑② ↑③
3p ↑① ↓(②番目) ✖

3p軌道における電子配置の順番は、表の上の行のように
3p軌道上の上向きの電子がすべて埋まった状態で、④番目に↓向きの電子をいれるなら大丈夫です。

しかし、下の行のように3p軌道の上向きの電子が埋まっていない状態で
②番目のように、下向きの電子をいれることはできません。

スカンジウム

スカンジウムを例にみてみましょう。
スカンジウムの原子番号は21番であることから
21個の陽子を持ち、21個の電子を持つことが分かります。

電子は、エネルギーの低い軌道から収容されていくので
1sに2個 2sに2個 2pに6個
3sに2個 3pに6個 4sに2個 3dに1個
これで21個になります。

最終的には、4sが先に埋まり最後に3dになります。
これは、ルール通りに電子が収容されていますね。

また、略式表現として
Sc(スカンジウム)の電子配置: [Ar core] 3d1 4s2
と表記され、アルゴンの電子配置
プラスアルファとして表記することもできます。

クロム

次にクロムの例をみていきましょう。
クロムは、原子番号が24番なので、24個の電子が存在します。

電子はエネルギーの低い軌道から収容されていくので
1sに2個 2sに2個 2pに6個
3sに2個 3pに6個 4sに1個 3dに5個 となります。

しかし、ここで問題があります。
本来なら、4s軌道の上下の電子が埋まった時点で3d軌道に移動するのですが、
クロムでは、4s軌道は片方しか埋まっていません。

これには、理由があります。
3d電子軌道中の電子の数が4つまで増えてきますと、
中途半端に電子を4つ埋めるよりも、
5つの3d電子軌道をみんな埋めてしまった方が全体のエネルギーとしては安定するのです

ということなので、無理矢理4s電子軌道から電子を奪ってしまうのです。

 

銅も同じようにやっていきます。
原子番号が29番なので、電子の数は29個になります。

電子はエネルギーの低い軌道から収容されていくので
1sに2個 2sに2個 2pに6個
3sに2個 3pに6個 4sに1個 3dに10個 となります。

ここも4s軌道に電子が先に入るはずが、
3dに入っています。

これは、クロムの時と同じように、
3d電子軌道に電子に電子を9個のままにしておくよりは、
全部埋めた方が良い!
ということで、4s電子軌道から電子を奪ってしまうのです。

よって全体のエネルギーは安定します。

 

参考記事:https://staff.aist.go.jp/a.ohta/japanese/study/REE_ex_fc2.htm

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